本を読んで、リラックスタイムを過ごそう。
ストレスフルな毎日、お仕事に勉強に忙しく帰っても何もする気力が起きないという方も多いかと思います。ほんとうにお疲れ様です。
今回は、某雑貨店で書籍担当をしていたことのある僕が、皆さんの疲れた心に寄り添ってくれる優しく温かい小説を3つご紹介します。
あらすじと、僕が実際に読んで考えたことをまとめた、かんたんな感想を紹介します。
あまり本を読まない方にも読みやすい作品を選んでいますのでぜひ最後まで読んでいってくださいね!
ほんとうにたいせつなものは、目には見えない『星の王子さま/サン・テグジュペリ』
1つめは、フランスの文学者サン・テグジュペリの作品『星の王子さま』のご紹介です。
砂漠に不時着したパイロットの「ぼく」と、そこで出会った小さな星から来た王子さま。いままで誰とも心から分かり合えたことの無かった「ぼく」が、王子さまとの交流を通じて友情を深めていきます。
「星の王子さまって子供向けの本でしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この作品は単なる童話ではなく大人が読んでも、いや、大人だからこそしっかりと心に響く作品なんです。『星の王子さま』で卒業論文を書いた僕が言うので間違いありません。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。ほんとうにたいせつなものは、目には見えない」
星の王子さまでいちばん有名なこの一節は、この作品のテーマを表す重要な一節です。
この「ほんとうにたいせつなもの」と訳されている部分は、フランス語の原文では”L’essentiel”という単語で、これは「本質」という意味です。皆さんは見た目にばかり気を取られて「本質」を見失ってはいませんか?
僕が好きなシーンをひとつご紹介します。
王子さまは世界に1つだけの特別なものだと思って育てていたバラが、実はありふれたものだと知ってひどく落ち込みます。
しかし王子さまは、「たとえ同じものだったとしても、自分のバラのために費やした時間や、バラのことを大切に思う気持ちが自分のバラを特別にしているのだ」と気づきます。
読み終えた後、きっといつもより星がきらきらして見えるはずです。その星たちのどれかに王子さまを見つけることができるから。
『星の王子さま』は、子どものときはみんな必ず持っていたのに、いつのまにか無くしてしまったものを思い出させてくれる作品です。
生きるため、1日ひとつ、ものを消す。『世界から猫が消えたなら/川村元気』
2つめは、佐藤健さん主演で映画化もされた川村元気さんの『世界から猫が消えたなら』。
代わり映えのしない生活を送っていた主人公の「僕」は、ある日突然頭痛がして倒れてしまいます。
診察の結果は脳腫瘍。かなり進んでしまっており、手術も不可能。
そんな中、愛猫のキャベツが待つアパートへ帰ると、自分とそっくりの姿をした悪魔がいました。
悪魔は、「お前は明日死んでしまうが、世界から何かを消せば、1つにつき1日寿命を延ばしてやる」と言います。
「僕」がその契約に了承すると、悪魔は寿命とひきかえに電話、時計、映画……と「僕」の身のまわりのものを1つずつ消していきます。
僕たちの身のまわりにあるもの、当たり前にあるもの。それらが突然消えて、消えたことにも気づけなかったとしたらどうなってしまうでしょうか。
僕たちが何かを大切に思うのは、そこに思い出が付随しているからです。
そのすべてを世界から消してまで生きる意味はあるのでしょうか。
「自分だったら何が消えてしまったら嫌だろうか、何と引き換えに死を選ぶだろうか」と考えながら読んでみるのも面白いかもしれません。
『世界から猫が消えたなら』は、「当たり前になってしまっているけれど、本当は大切にしているもの」を再確認させてくれる作品です。
ひと夏の冒険と恋とペンギンと…。『ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦』
『ペンギン・ハイウェイ』は『夜は短し恋せよ乙女』、『四畳半神話大系』などで有名な森見登美彦さんの作品です。
研究好きな小学四年生・アオヤマくんが住む町で、ある日突然、ペンギンの群れが出現するという事件が起こり始めました。
ペンギンの正体と彼らの行先について研究を進めるアオヤマくんは、彼が通っている歯医者の歯科助手のお姉さんがペンギンを出している瞬間と森の奥に浮かぶ水の球体「海」を見つけます。
お姉さんとペンギン、そして海の関係とは…?
『ペンギン・ハイウェイ』は、夏休み、不思議な現象、友情、成長、ミステリアスなお姉さんへの恋心などなど、子供時代のワクワク、ノスタルジーを十二分に感じられる作品です。
また、非常にかわいらしいキャラクターと文体が特徴の作品で話の内容的にも非常に読みやすく、普段本を読まない方にもおすすめとなっています。
こちらの作品は世界の謎に迫るSFであるとともに、アオヤマくんの成長物語でもあります。
この水路はどこにつながっているんだろう。ペンギンはどこへ行くんだろう。お姉さんを見ているとうれしい気持ちになるのはなんでだろう…。
心も体も変わり始める年齢のアオヤマくんはたくさんの疑問を通して大人になっていきます。
気になったことは何でも研究してしまうアオヤマくんと違って、大人の僕は「自分にはわからないことばかりだし、“わからないこと”は怖くて嫌なことだ」と感じてしまっています。
でも見方を変えると、知らないことがたくさんあるということは、その分新しいことを知る楽しさが世界に潜んでいるということではないでしょうか。エウレーカ!
大人になっても小さな「なんで?」を大切にして生きたいものですね。
コーヒーを用意して、本でも読もう。
以上、「疲れた心を癒すおすすめ小説3選」でした!
お出かけもとっても楽しいですが、コーヒーや紅茶を用意しておうちで本を読む時間を過ごすのもいいものですよ。
余談になりますが、僕は『星の王子さま』がとても好きで、人生の軸になる考え方を与えてくれた本といっても過言ではないと思っています。
僕はこの作品を読み返すごとにやさしく、たのしい人間になるヒントがもらえていると感じます。
みなさんも人生を少しだけ楽しくできるような本に出会えることを願っています!
a la maisonでは、おうち時間を楽しく快適に過ごすための情報を発信しています。
もしよろしければほかの記事も読んでいってくださいね。
最後まで読んでいただきほんとうにありがとうございました!